【訪日ラボの目線 インバウンド市場を読み解く 14】観光客のトイレ不適切使用 困っている自治体は5割に


 国土交通省国土交通政策研究所の調査によれば、観光客によるトイレの不適切な利用に課題を持つ、と回答した自治体がおよそ5割に上るという。その他、マナー、混雑、観光危機管理、宿泊施設の不足について、約4割以上の自治体が課題として認識している。インバウンドが盛り上がる中で「観光公害」が受け入れ態勢の課題として浮き彫りになってきた。

 「観光公害」とは、地域のソフト面、ハード面のキャパシティを超過した観光客が押し寄せることによって、景観や文化財、住民生活において損害が発生することを指し、「オーバーツーリズム」とも呼ばれる。

 このような観光産業による「無理」を生じさせない観光の在り方を「サスティナブルツーリズム(持続可能な観光)」と呼び、世界各地の観光地で、この「サスティナブルツーリズム」の研究が進んでいる。

 インバウンドとなれば、この「観光公害」と「サスティナブルツーリズム」を考える上で「文化の違い」という視点が加えられるため、課題解決には相応の工夫が必要になってくる。冒頭のトイレの利用についてなどは、インバウンド受け入れにおいてよく課題として挙がる。例えば、使用済みのトイレットペーパーの処理一つとっても、トイレに流すのか、流さずにゴミ箱に捨てるのか、その「常識」は国によって異なる。

 これらを踏まえ、各自治体では「マナー・ルール」「混雑」などの課題を認識し、地域住民の生活の質や景観の保全、観光客の満足度向上に向けた対策を講じる動きが活発化している。2020年の東京オリンピック・パラリンピックを目前に控えた今だからこそ、観光立国の“御旗”のもと、オーバーツーリズム・サスティナブルツーリズム問題に対する取り組みを強化していくべきだろう。


     

 
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